ダチョウタンク®で安全対策をサポート!
ダチョウタンク®で安全対策をサポート!
化学防護服・手袋の耐透過性能を簡単にチェック!
〜目に見えない危険を可視化。作業者の安全と企業のリスク管理を両立〜
■はじめに
化学物質を取り扱う現場では事前に化学防護服・手袋の耐透過性能を確認することが不可欠です。
従来の方法ではコストや外部機関へ委託調査をするなど手間がかかってしまい、化学物質に対応することが困難でした。
今回、ご紹介します簡易透過試験セル「ダチョウタンク®」であれば、現場で手軽に耐透過性能をチェックでき、目に見えない化学物質の透過を可視化することで、作業者の安全のための企業の化学物質管理のツールとしてご活用いただけます。
今回はこの「ダチョウタンク®」をご紹介します。
■化学物質の危険性と保護具選定の重要性
厚生労働省報告にて、化学物質を原因とする労働災害は年間450件程度で推移しており(がん等の遅発性疾病を除く)(*1)、
うち経皮ばく露による皮膚障害が最も多く、吸入・経口ばく露による障害発生件数の約4倍程度と報告されています。(*2)
効果的に使用すれば大きな便益をもたらす化学物質ですが、取り扱う際には局所排気装置の設置・運用や作業手順の確立に加え、適切な保護具の選定と使用が重要なポイントになります。
そこで、保護具の選定に活用できるダチョウタンク®が活躍します。
■不浸透性とは?
使用する化学物質に対して、透過性能を調べるには十分な耐透過性能を有した化学防護手袋を選ぶことが重要です。
「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル 第1版」(*2)では、化学防護手袋の素材や作業時間、ばく露の程度などから、選定する手順が示されています。
そこで選定基準の中心的な役割を果たすのが、化学防護手袋の素材の耐透過性能です。
■保護具選定の課題:データ不足と確認の難しさ
保護具を選定する際は、
メーカーの公表している耐透過性能を参照し、自身の作業にふさわしい製品を選ぶ、
というのが基本的な流れです。
ただし、現在流通している数万物質(*3)といわれる化学物質すべてに対して、参照できる耐透過性能データが入手できないのが現状です。
ダチョウタンク®はこんなお悩みを解決します
ダチョウタンク®は、
PIDセンサーやガス検知管と組み合わせて使用する簡易的な透過試験セルです。
この製品を開発した背景には、化学物質を使用する現場の方々からいただいた次のようなご意見やお悩みからでした。
「化学物質が透過する、といわれても目に見えないからわからない」
「化学物質の透過と危険性をすぐに実感することは少ないから、わざわざ作業しにくくなるような保護具を使用するのは億劫だ」
「化学防護服・手袋を選定したいが、透過データがない。」
「自社で耐透過性能を確認したい。」
そこで、 実際に事業者の方々に自社で耐透過性能を確認できる方法があれば便利ではないかと考え、開発しました。
■ダチョウタンク®を使用するメリット
メリット1:現場で簡単チェック!
メリット2:目視で確認できる!
メリット3:リスクコミュニケーションを促進!
労働安全衛生法施行令の一部を改正する法令に伴い発行された、基発0427第3号「化学物質等による危険性又は有害性の調査等に関する指針の一部を改正する指針」について」(*3)では、皮膚等障害化学物質等を製造し、又は取り扱う業務に労働者を従事させる場合は、不浸透性の化学防護服などの保護具を着用させることが事業者に義務付けられました。
作業者にとって防護服の着用は負担であり、着用の必要性が感じられないこともあります。
ダチョウタンク®を使うことで、化学物質管理者・保護具着用管理責任者と、実際に保護具を着用する作業者との間で、保護具の性能についてお互いに確認することができれば、より必要性を理解した上で保護具を使用できるかもしれません。
また、実際にPIDセンサーの数値や検知管の色が変わる様子を見て、透過の危険性を可視化し、観察することで作業者と管理者の間でリスクの共有ができます。
■ダチョウタンク®の特徴
ステンレス製 高さ110mm × 85mm(最大幅) 重量1.0kg
本体の側面にCUB専用接続口と検知管等の接続口を設けています
内部には、万が一化学物質が試験片を破壊して滴下した際にも、CUBのセンサーへの接触を避けられるような仕組みを備えています
試験片は直径4㎝程度の円形に切り出し、1ml程度の化学物質を注入して使用します。
■ダチョウタンク®の使い方(具体的な手順と図解)
【測定方法】
1.初めに試験片のバックグラウンド値を測定します。
化学防護手袋や化学防護服に使用されている素材は、特有の匂いが付着していることがあります。
その匂いもPIDセンサーは検知してしまうため、あらかじめバックグラウンド値として測定し、
対象の化学物質を注入した後の測定結果から差し引く必要があります。
2.次に、測定対象の化学物質を注入します。試験片表面が触れる、1mlほどを注入します。
3.PIDセンサーをゆっくりと近づけながら測定値を観察します。
この際、急激に数値が上昇するようであれば、ダチョウタンク®からPIDセンサーを外してください。
ここからわかること
グラフ② の測定値はどの時点でもグラフ① のバックグラウンド値を超えていないため、試験片の裏面への透過はどの時点でも起きていないと考えられます。
差引いたグラフ③ を見ると、7時間以上急激な透過量の上昇が見られないことがわかりました。
もし、エタノールが試験片を透過した場合は、グラフは急激な上昇を描きます。
詳しい操作方法は、動画でご紹介していますので、是非ご覧ください。
※この試験方法はJIS等の規格に規定された耐透過性試験とは異なります※
■導入事例と効果 ーこれまでにいただいたお客様の声をご紹介しますー
現場と管理者のリスクコミュニケーションに
「高額で大きな試験装置を使わなくても、簡易的に耐透過性能を調べることができるのは良い」
「化学防護手袋を使用するように作業員に指導してもなかなか使ってくれないが、ダチョウタンク®を使って透過を可視化できれば、リスクに対する共通の認識を持つことができるのではないか」
■ダチョウタンク®で安全対策をサポート!
ダチョウタンク®は、化学物質を取り扱う全ての現場で活用できるツールです。
化学物質の有害性の情報を共有することは、自律的管理を実施するために重要です。
取り扱う化学物質に対して、使用する保護具の耐透過性能を確認することができれば、リスクアセスメントの裏付けが可能になります。
ダチョウタンク®はダチョウの目が遥か遠くを見通すように、試験装置という「目」が保護具の耐透過性能を見えるようにする効果をねらい名付けました。
ダチョウタンク®を使って、保護具の耐透過性能を確認しましょう。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【参考リンク】
*1 労働安全衛生法の新たな化学物質規制 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001083280.pdf
*2皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル(第1版) 2024年2月
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001216985.pdf
*3 基発0 5 3 1 第9 号 令和4 年5 月31日 労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について